ボランティアの記録:福島
福島県福島市
東日本大震災の後に向かったボランティアの旅
ボランティアの旅を決めた一つの要因に、福島の存在がある。
縁あって福島へは何度も通っており、並々ならぬ想いがあった。
そこに津波だけでなく、原発の問題や風評被害など…
インターネット上で様々な意見が繰り広げられている中、現場の空気や意見が蔑ろにされている感じがしていた。
現場を見ずして語っても始まらないので行動あるのみと思った。
ちょうど石巻から帰宅し、次の行動を模索していたところに動物シェルターでのボランティアに向かうという友達からの一報を受け、行動を共にすることに。
事故のあった福島第一原子力発電所から半径20キロメートル圏内の封鎖された地域で保護された動物のシェルターでのお手伝い。
今回は自分達でユースホステルに滞在して通う計画。
ユースゲストハウスATOMA
宿から福島市街をのぞむ神々しい風景
福島に滞在して一番印象に残ったのは、テレビ画面の下に一日中「現在の放射線量」のようなテロップが流れ続けていること。
正直、重苦しい気分になる。
現場の人々は常にこれを見ていると思うとやりきれない。
動かない(逃げない)人を糾弾する意見も聞くが、こんな状況下でも動けない事情を考えて欲しい。
意見するのは簡単だが、もっと想像して欲しいと切に願う。
看板犬も気持ち良さげ
夜には、ご主人自慢の超大型望遠鏡で天体観測ツアーも
個人所有の天体望遠鏡としては日本最大級らしい
望遠鏡のレンズ越しに月を撮影
圧巻の画
ボランティア先のシェルター内
インターネット上では、この施設に対して辛辣な意見が寄せられている模様。
しかし、現場では動物の餌やペット用品の支援物資も少なく、糞尿の世話や病気対策など、毎日が戦場のような状態の中でボランティアスタッフが闘っていた。
福島は原発問題の影響でボランティアスタッフも不足気味な印象で、他の被災地とは違い「復興」へ向けての具体的な動きが見えづらい。
故に、現場スタッフは家族を失いながらも参加している被災者の方々が多かった。
Twitterなどリアルタイムで情報が行き来するツールが増え、今まで見えなかった情報が見え、震災時に数多くの命を救ったのは言うまでもない。
しかしながら情報過多となり、目にした情報を頭から鵜呑みにしてしまう危険性もはらむ。
何度も言うようだが、外から意見する際には実際の現場の声や情報にもっと目を配って欲しいと感じる。
こういった施設では、避難先に連れて行きやすい小型犬は少なく、一緒に逃げられなかった中型〜大型犬が多い。
ケージから出してあげると抱きつくように戯れてくるこの子達と触れ合い、始めは動物よりも人間の為になるボランティア活動をしたかったが、今ではここに来れて本当に良かったと思う。
この時はトリマーを目指す学生達がボランティアとして来てくれていた。
身体は痩せてしまっているが、本当に気持ち良さそう。
滞在期間中には新しい命も生まれ、スタッフみんなで喜んだ。
1週間ほどの滞在後、帰りに宿からシェルターへ通う道中に毎日見ていた線量の高い地域の田んぼを撮影。
この米がどうなるのか考えながらも、黄金に光る稲に目を奪われた。
最後に原発付近へ寄ることにした。
やはり他の被災地と違い、原発付近では復興の目処が立たないまま草原化する光景を至る所で見た。
原発付近の海岸
こんなにも綺麗なのに、水には触れられないジレンマを感じる。
福島第一原子力発電所まで20キロメートルの封鎖地点
これより先、奥の細道